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「ヒロインが回復特化型」はゲームにおいては実は難しいよって話

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ジェンダー論だとか何だとか堅苦しい話はとりあえずおいといて、今回は回復特化型のヒロインが「ゲーム」だとかなり扱い辛いのではないかという話です。

ゲームと言ってもバトルパートなどがない、ノベルゲーやアドベンチャーゲーなどになってくるとまた別なのですが、実際にキャラにステータスがあってバトルするようなタイプのゲームだとかなり取扱注意になります。

 まず、回復特化型、とはどんなステータスかという定義から始めましょう。

補助魔法などは許容範囲として、直接的なダメージを与える手段を持っていない、あるいはいわゆる通常攻撃くらいしかなく、それによるダメージも微々たるものである、というキャラです。

聖職系回復キャラの場合、アンデッド限定の攻撃技があったり回復魔法を使うとアンデッドにダメージを与えたりすることができたりしますが、そのあたりも許容とします。

その他のステータス、例えば素早さや防御力などについては不問です。防御の高いタンク型ヒーラーもか弱くすぐ倒されるような紙ヒーラーも回復特化型とします。

メインヒーラーが登場するまでの間の一時的な回復担当(上位の回復スキルは覚えない)キャラや、回復もできるけど攻撃もできるような万能型のキャラは回復特化ではないのではじきます。

 

 

ゲームにおいて回復役は、当然他のキャラを回復することが役割となります。

つまり、他のキャラが傷ついている時に回復役が動ける状態であることが必要とされます。当たり前と言えば当たり前です。

さて、そんな回復役が打たれ弱くすぐ倒れるようなステータスだとどうなるでしょうか。

役割を果たせない、お荷物にしかなりませんね。DQ2サマルトリアの王子などは、蘇生魔法を覚えているが最初に死ぬのでその蘇生魔法を使う機会がない、といった不評をかっています。(DQ2は最後までプレイしたことはないので、すぐ死ぬというのが正しいかどうかは分かりませんが、蘇生役が一番に死んでいては意味がない、というのは理屈として正しいです)

では聞きます。そんなお荷物キャラ使いたいですか?自分なら使いたくないです。もしどうしても使わないといけなくなると、多分面倒だとか他のキャラを使いたいとか不満が出ると思います。

ヒロインを貧弱回復キャラにすると、「弱いからパーティーから外す→愛着が沸かない→ヒロインとしてどうなの」となります。かと言って無理に使う機会を作ろうとすると「弱いのに使わないといけない→ストレスがたまる→キャラにヘイトが向く→ヒロインとしてどうなの」となります。

別にヒロインに限る話ではないのですが、回復役が貧弱だとシステム的にかみ合わず、お荷物扱いになり空気化するかヘイトが貯まることになりやすいのです。

また、貧弱な回復役はストーリー面でも「なぜわざわざそんなキャラを冒険に連れまわさないといけないのか」という問題が出てきます。

普通に考えたら戦いに向かないキャラなら冒険に参加せずに他の向いたキャラを使えばいいわけで、連れまわすためには理由をつけてあげないといけなくなります。面倒ですね。

物語だけを楽しむマンガや小説、ゲームでもノベルゲーなどであればそこまでストレスにはならないでしょうが、バトル要素を入れると途端にストレス要素になります。そこを「可憐なヒロインを守る自分(主人公)かっこいい」と思うことができればいいのでしょうが、そう思わせるには普通のキャラを好きになってもらうよりも更にキャラの性格や旅の理由づけなどに労力が発生するわけで、よほどこだわりがない限りは「わざわざ回復ヒロインにしなくてもいいじゃん」になるわけです。

いや、別にヒロインが嫌われてもいいなら貧弱回復役でもいいとは思いますが。

 

これを解決するには、前述のように回復系ヒロインという前提を崩すか、回復役として機能するように耐久面の底上げをする必要があります。

ということで、タンク型の硬いヒロインを作るとしましょう。そうなると一つ問題が出てきます。絵面です。

可憐なヒロインが全面に出てぼこぼこ殴られながら、他の攻撃型キャラに回復を飛ばす姿を想像してみましょう。

ゲームとしてはバッチコイです。ヒロインが主人公であるなら自己投影により満足感、達成感もあるでしょう。

でも可憐でかわいいヒロインがぼこぼこにされるわけです。やっぱり絵面的には微妙だと思います。

これが攻撃系キャラであればやり返すことができるわけで、戦ってる感が出るんですが、攻撃手段を持たない回復特化型の場合だと一方的に嬲られてる感が酷いんですね。

昔のゲームならともかく、今のビジュアルも進化したゲームでやられたら罪悪感すら覚える可能性もあります。それがゲームとして楽しいかと言われれると、ねぇ。

解決策として、ある程度しっかりした体格のイケメン系ヒロインにすることでようやく回復特化型ヒロインとしてゲーム的にもストレスフリー、ストーリー的にもPTとして戦う能力があるので強引な理由づけが必要なく、絵面もいたたまれなくなったりすることがないと条件をクリアできますが、そこまでして条件を満たすくらいなら別に回復役である「必要」はないわけです。いや個人的にそんなキャラいたらとても好きですけど。

というか回復型ヒロインはゲームという媒体においては守られる系ヒロインには向いていないと言ってもいいかと思います。

ゲームで守られる系ヒロインをしたいのであれば、無理にパーティーメンバーには入れずに故郷などで主人公のことを待ちつつストーリー面でのサポートをするとか、旅にはついてきても戦闘には参加せずスキルを使ったり後方支援をするサポート型にするとか、紙装甲でも許される後衛・火力特化系の職業にすることで戦闘の訳にも経ちつつヒロインを守る立ち回りをさせるといった方面で考える方がどう考えても楽なんですね。

で、実際に戦闘で戦える系ヒロインにするなら無理に回復役の枠に押し込める必要はないわけです。前衛でもなんでも好きにすればいいわけで。

そう考えると、DQやFFで案外回復役ヒロインっていないよね、となるのも道理だと思います。わざわざ回復役にする必要がないので、回復役ヒロインもいないわけじゃないけど特別多くはないよね、むしろ割合で言うならちょっと少ないくらいかもね、という結論は理に適っていると言えます。

 

その分、こういった問題点をクリアしてヒロインを回復役にできればその分だけ他の適当にヒロインを回復役にしただけのゲームよりも高評価を得られるわけで、回復役ヒロインが必ずしも悪いものだとは思いません。

ですが、安易にヒロインを回復役にした結果残念なことになるくらいなら、ヒロインは手堅く回復役以外にした方がいいかと思います。

 むしろジェンダー的な話をするのであれば、女性ヒーラーが少ない世の中よりも絵面の問題なんぞ関係ねぇ!見た目での差別はクソ!とばかりに女性ヒーラーが増えて前衛でボコボコ殴られる世の中の方が平等なんじゃないですかね。知らんけど。